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おはなしの小道 TALES PASSAGE

『子どもに贈る昔ばなし』より 第6話 しじみの三兄弟

  しじみの三兄弟(和歌山)

 むかし、ある小さな川に、太郎、次郎、三郎というしじみの三兄弟が住んでいました。
 ある日、一番上の太郎しじみが、
「こんな小さな川にいてはおもしろくないから、いちど龍宮へ行ってみないか」といいました。次郎しじみと三郎しじみもさんせいしました。
 しじみの三兄弟は、川をくだっていきました。海に入ったところで、かにに出会いました。かには、
「しじみさん、どこへ行くの」と、たずねました。しじみの三兄弟が、
「龍宮へ行くんだよ」と、答えると、かには、
「乗せていってあげるよ」といいました。しじみの三兄弟は、かにに乗ろうとしましたが、かには小さくて、ひとりしか乗れません。太郎しじみが乗りました。次郎しじみと三郎しじみは、はみだしてしまいました。太郎しじみは、ひとりで先に行ってしまいました。あとにのこった次郎しじみと三郎しじみは、しかたなく、また歩きだしました。
 しばらく行くと、とびうおに出会いました。とびうおは、
「しじみさん、どこへ行くの」と、たずねました。次郎しじみと三郎しじみが、
「龍宮へ行くんだよ」と、答えると、とびうおは、
「乗せていってあげるよ」といいました。次郎しじみと三郎しじみは、とびうおに乗ろうとしましたが、とびうおは小さくて、ひとりしか乗れません。ふたりは、じゃんけんで勝ったほうが乗ることにしました。三郎しじみが勝ちました。ところが、負けた次郎しじみが先に乗り、行ってしまいました。あとにのこった三郎しじみは、しかたなく、ひとりでまた歩きだしました。
 しばらく行くと、かめに出会いました。かめは、
「しじみさん、どこへ行くの」と、たずねました。三郎しじみが、
「龍宮へ行くんだよ」と、答えると、かめは、
「乗せていってあげるよ」といいました。けれども、三郎しじみは、
「ぼくは、ついてゆくよ」といって、かめには乗らないで、かめのうしろを歩いていきました。
 やがて、龍宮に着きました。三郎しじみは、乙姫さんからたからものをたくさんもらいました。
 龍宮からもどるときも、三郎しじみは、かめのうしろを歩いていきました。とちゅうで、かめとわかれ、ひとりで川上の小さな川にもどってきました。
ふたりの兄さんしじみも、もどっていました。ふたりは、しょんぼりしています。龍宮へ行けなかったのです。太郎しじみは、かにに乗ったのですが、かには横歩きなので、龍宮とは方向ちがいのほうへ行ってしまったのです。次郎しじみは、とびうおに乗ったのですが、とびうおはいきおいよくとんだので、龍宮をとびこしてしまったのです。
 三郎しじみは、ふたりの兄さんしじみとたからものを分けあって、三人なかよくくらしたということです。

『子どもに贈る昔ばなし6 きんぷくりんとかんぷくりん』(小澤昔ばなし研究所、2006年)より

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