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昔話の道しるべ 小澤俊夫の昔話エッセイ GUIDEPOST FOR FOLKTALES

第41回 子どもの姿を語る小話
 昔話ではありませんが、子どもの姿を語るこんな話もあります。
 小学二年生のクラスの算数の時間だった。先生は、ひとりひとりに話しかけて、足し算に慣れさせようとしていた。順番に回っていって、めぐみの前に立つと、先生はめぐみに言った。
「めぐみちゃん、先生は今日、めぐみちゃんににわとりのひなを二羽あげるわね。あしたになったら、三羽あげるわ。そしたら、めぐみちゃんのところのひなは、何羽になる?」
 めぐみはすぐに答えた。「六羽よ」
「え?五羽でしょう?」
 先生は、問い詰めるように言った。
「ううん、六羽なの」
「どうして?」
「だって、うちに一羽いるんだもの」

 次の話は、先生には受けが悪いかもしれませんが、小学校上級の子どもたちは喝采すること請け合いです。
 受け持ちの先生が病気で入院した。何日も入院が続いたので、子どもが七人でお見舞いにいった。しかし七人がみんなで病室に入るのは遠慮して、ひとりだけが代表してお見舞いに入っていった。六人は廊下でじっと待っていた。なかなか出てこなかった。
 だいぶたってから、やっと代表の子が出てきた。一瞬、みんな緊張してその子を取り巻いてきいた。
「どうだった?」
その子は答えた。「絶望よ」
「え!」
みんな息を飲んだ。
「あした、もう学校に帰ってくるんだって」

 学校が楽しくても、休みになるとなんとなく嬉しい気持ちは、どんな子も持っているものです。先生方も、子どもの頃にはきっとそうだったでしょう。そういう子どもの微妙な気持ちを語っている、おもしろい小話だと思います。けしからんと怒らずに、子どもに語って、子どもと大いに笑ってみてください。



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